200年ぶりくらいに(嘘だけど)、一人で映画を観てきました。
「カモンカモン」
アメリカの各地で子供にインタビューをするラジオジャーナリストが、妹の子供の面倒を見ることになり、
ぶつかり合い、打ち解けて、すこしずつ相手を理解し、大切なことに気づき、認め合い、子供のもつ可能性と、大人も気づかないくらいの絶望を受け入れる強さと、子供も気づかないくらい大人は不十分だということを、
静かに、深く、沁みこんでいくように伝えるようなお話です。
同時に、子供たちへのインタビューが素晴らしく(台本なしの、素のインタビュー)
未来はどうなっていると思う?
大人への助言は?
などへの質問に、時には哲学的に、政治的に、歴史的に、そして心理学的に
それそれの持つ考えを述べる子供たちの姿がたくましかった。
映像はすべてモノクロですが、私にはセピア色のようでした。
そして音楽と、環境音(というのかな)も、いちいち心に響く。
今の時代に、
このような映画を作ろうと奔走した大人がいたことと、この映画を全国ロードショーにした大人たちがいたことも、胸が熱くなります。
映像や音楽の持つ力、人への愛と世界の美しさを信じる人へ
もしくは今、それらを信じられなくなってしまった人へ
お勧めの映画です。
本編で、主演のホアキン・フェニックスが読み聞かせる、お話。
「星の子供」というアメリカの絵本の一節だそうです。わたしなりの訳です。
地球という星に行くためには
人間の子供として産まれなくてはなりません。
まず最初に、新しい体の使い方を覚えます。
腕や足を動かし、歩き方、そして走ることを学びます。
手を使ったり、音をたてたり、言葉を作ったり。
多くのことを学び、多くのことを感じます。
悲しみ、喜び、失望、そして驚き。
いつしか成長して、旅にでたり、仕事をしたりして
何年もかけて、理解しようとするでしょう。
幸せとは、悲しみとは、豊かさとは。常に変化するその人生について。
そして地球を去り、星に還る日がきたら
きっとお別れがつらくなっているでしょう。
この、奇妙で美しい世界との。
泣いてるの?
泣いてないよ。
泣いてるでしょ?
泣いてない。
わたしは泣きっぱなしだったよ。
大人だって、わからなくなる。
だから、愛おしいんだね。