メランコリーと憂いと愁い|スワヴェク・ヤスクウケ

先日行ってきた、スワヴェク・ヤスクウケのコンサート。

彼はポーランド出身のピアニスト。

彼らの奏でるジャズをポーリッシュジャズと呼ぶのだそうです。

今回は、福岡県在住ピアニストの横山起朗さんが前半、後半にスワヴェク、それぞれソロの演奏で、たっぷり2時間(以上だったかも)のコンサートでした。

お二人のピアノは全然違う。

これは、それぞれの馴染みのある街が異なるように、漂う空気がまったく違っていました。

同じ楽器。鍵盤をおせば、誰でも音が出せる楽器。

不思議だよねえ。

さて、スワヴェクさんの国はポーランド。

ピアノの詩人と呼ばれるショパンの故郷です。

私はショパンも大好きですが、スワヴェクさんのピアノもショパンも

どこか同じ空気を感じます。

そこにあるものは、メランコリー。

メランコリー、メランコリック。

憂鬱、晴れ晴れしない気分、落ち込み、、、 

あんまりいい意味ではないようだけど、

この、メランコリーに惹かれる人も多いのではないでしょうか。

メランコリーに似ているのが、日本語の「うれい」ですが

「憂い」と「愁い」がありますよね。どちらも使えるようですが

「憂い」は心配事や不安な様子、不安で気分が晴れない。

「愁い」は物悲しい、切ない、なんだか悲しい。

そんな印象があります。

音楽のメランコリーは、後者でしょうね。

私の好きなメランコリーは、「愁い」の方。

そして彼の演奏は、その先に垣間見る、

力強い希望。

まるでひどい雨の後の太陽のような。

日本やポーランドでは、この、「愁い」を好むのかも知れません。

それは、国の歴史や、アイデンティティ、季節感や湿度や温度

そんなものが影響しているように思います。

ポーランドといえば、ウクライナ支援が続くところ。

一日も早く、「愁い」を美しいものだと思える日が来ることを祈っています。

コンサートの最後、アンコールで

椅子に座るより先に弾きだした、私の好きな曲。

また観に行きたいな。