私が初めて実際に見ることができたのは、2017年の水戸室内管弦楽団第99回定期演奏会でした。
会場の水戸芸術館のコンサートホールはステージが客席に近く、620席ほど。
私は中段、上手側の端に座っていました。
前半は、弦楽と管楽、それぞれの演奏で、指揮者はないとのこと。その後はピアノ/マルタ・アルゲリッチとのベートーベンピアノ協奏曲の大曲です。
しかし、弦楽の「ホルベアの時代」が始まると、出入りをする下手の口に、マエストロがスコアを見ながら座っているのが見えました。指揮をせずとも、舞台袖で、確かめるように演奏に聴き入っているような姿。
赤い上着と、たぶん靴下も赤かった。おお、レッドソックス!
これが、初めて目にした姿でした。
ご自分のことを、努力し続ける天才だと言っていたマエストロ。
音楽は魂を浄化するためにある。
そう思えたことに感謝します。
どうぞ安らかに。平和と愛が音楽を奏でる世界がどこまでも続きますように。
小澤征爾 2004年 サイトウキネン J.S.バッハ シャコンヌ