シーモアさんと、大人のための人生入門

フラメンコの貴重なドキュメンタリー映画「サクロモンテの丘」を観に行った映画館で同時に上映していたもうひとつが

「シーモアさんと、大人のための人生入門」でした。

俳優のイーサン・ホークが監督した、ピアノ教師シーモア・バーンスタインのドキュメントです。

イーサンは悩んでいました。舞台恐怖症。そして、俳優であることについて。

シーモア先生もまた、舞台の重圧を苦に演奏活動から身を引いたとされています。

でも、音楽のもつ神秘に満ちた力を疑いはしなかった。

それからの自分の人生を生徒に捧げることにしました。

それは、きっと、シーモア先生にとって素晴らしい選択だったのだと感じます。

その選択が、自分自身を救うことになり、そこには音楽の愛をそのまま残すことができた。音楽の力を信じ続けることができた。

生きていると、(年を重ねると特に)自分の意志とは別に

指導者となることがあります。

職場では先輩としてだったり、役職についたり。

家庭では誰かを支える人として。

不安や重圧を自分でも抱えながらも、不安や重圧を抱える誰かを導かなくちゃいけない。

今、大きな不安の中にいて

それでも誰かや、何かを支えていると

もしかしたら、自分の一番大切にしている素晴らしいものを、まっすぐ素直に受け入れられなくなるかもしれません。

どうぞ、あなたの大切にしているその素晴らしさを

信じ続けられる選択をしてくださいね。

そうしたらきっと、救うべき人を、支えるべき人を

導くことができると思っています。

何か、心が揺れるとき、いったん立ち止まりたいとき、頭と心をリセットしたいとき

聴きたくなる曲です。

ピアノにしたかったけど、グレン・グールドの演奏ばかりで。

グールドも聴きますが、圧が苦しくなる時があるんです。

そんなわけで、ギター演奏のバッハ、ゴルトベルク協奏曲です。

どうかあなたが今夜、安心して眠れますように。そして明日が穏やかで美しくありますように。