今日という一日の終わりに|空の下 長田弘

あの、震災からもう11年。

また、今日が来る。

不安なことがありふれているような毎日で、ともすると

何が自分に大切な時間なのかもわからなくなることもあるかも知れない。

それでも今日は、私にとって大切に思いたい一日です。

「ことばのちからは、どれだけ沈黙をつつめるかで、どれだけ言い表せるかとはちがうだろう。」(1日の終わりの詩集 あとがき より)

人は、ひとりでは生きてはいけないけれど、

ひとりになれなければ、誰かと生きてはいけない。

その沈黙の中に、ことばにできないことばがある。

それらを包めたことばは、「ありがとう」かも知れないし、「さようなら」かも知れない。

結局は、簡単に使われるような言葉なのかも知れない。

たくさんのことが起きている今。

今日という1日は、心を込めて、大切な人に

その、簡単と思われるような言葉を、

いつだって伝えようと思う1日にしよう。

そして、あなたの沈黙をつつんだ言葉を、

いつでも、きちんと受け取れる人でありたいと思う。

なんだかまとまりませんが、

今年も、この詩を読んでいます。

「空の下」 長田弘 から抜粋です。

「黙る。そして静けさを集める。

こころの籠を静けさで一杯にする。

そうやって時間をきれいにする。

独りでいることができなくてはできない。

静けさのなかには、ひとの

語ることのできない意味がある。

この世は美しいとは言えないかもしれない。

幼いときは、しかしわからなかった。

この世には、独りでいることができて、

初めてできることがある。ひとは、

祈ることができるのだ。」

あなたが今日も、安心して、眠りにつけますように。

そして、目覚めた朝が

穏やかで、輝かしくありますように。