鴨居玲とフラメンコ

茨城県笠間市にある、笠間日動美術館の鴨居玲展に行ってきました。

美術本でも見たことのある、おどけたような表情や恰好なのに、底知れない暗さを併せ持つ絵たち。

視線をどうしても外せない。それは自分の中にあるからなのか。

なぜか、フラメンコを感じるなあと以前から思っていました。

彼がスペインに住んでいたからなのかなと思っていましたが

やっぱり、まちがいではなかったんだな。

鴨居玲は、スペインのラ・マンチャにあるバルデペーニャの村に5年住みました。

ここで、自分の居場所を見つけたんだと思う。

でも、そこに留まることができなかった。

ラ・マンチャは、ドン・キホーテとワインの地方です。

映画「ボルベール」はこのラ・マンチャが舞台です。風の強い中、お墓を掃除する習慣があるそうで、映画にも出てきます。

そこにあるバルデペーニャはフラメンコが盛んではないけれど(たぶん)バルデペーニャ出身のカンタオールは有名です。

展示の一部で、彼の部屋を再現したところがありました。

そこに、ひとりの男の人のデッサンがあって、右を向いた横顔。身なりはきちんとして、首にスカーフを巻いています。

題名はなかったけど、まるでカンタオールだと思いました。

フラメンコではないかも知れないけど、音楽が歌が聞こえてくるようでした。

パートナーの写真家の富山栄美子さんが、ドキュメンタリー番組でそのバルデペーニャの村に彼が自殺したことを告げに行きます。(フラメンコも少し出てきます)

才能と、情熱と、愛情と、生、と死と。

狂おしいほどに。

何かに惹かれると、なにかを引き寄せる。

そして、引き寄せたものが惹かれたものへの愛情になる。

そんなふうに思います。