深夜特急とスペインの旅

昨年末から年明けにかけて、何か没頭したいなあーと思っていました。今までしたことのなかったことに。

「スターウォーズ」をはじめから観る、というのも考えましたが、必要な時間が膨大で断念。どうしたものかなあと思っていたら、運転中にラジオから

「お久しぶりです。沢木耕太郎です。」

の声が。

「ミッドナイト・エクスプレス」というラジオ番組のコマーシャルでした。

おお。

ミッドナイト・エクスプレス。「深夜特急」。

沢木耕太郎さんが20代に旅した、ユーラシア大陸をバスで横断するという紀行小説です。

ちょうど遊びに行っていた姉の家に全巻そろっていたのを借りてみました。

「バックパッカーのバイブル。」と姉に渡されたその本。

1、2巻と読み進めて

あれ?おや?

はまらない。没頭できない。

ちょっとショックでした。

年を取るってこういうことなんだろうか、とか。

わたしには、もう、旅は必要ないんだろうか、とか。

でも諦めきれずに、沢木ファンには怒られるかもしれないけど、最終巻の6巻を先に読むことにしたのです。

6巻は、南ヨーロッパからロンドンまでのお話です。先に言ってしまうと、面白く、心に響き、2度続けて読みました。

イタリアまで来た沢木さんは、予定外の(旅とはそういうものですが)スペインに入ります。

彼は、旅に出るのは26歳がちょうどいいと言っていて、

それは、ある意味、宙ぶらりんな自分を許すことができるからかも知れない。

そして、何かが決まり、決められることの恐怖から逃げ出すばかりでなく、未来を見つめて、取に行く情熱があるからかも知れない。

私が26歳の時、旅をしたのがスペインでした。

マドリッドから、コルドバ、セビージャ、ミハス、ロンダ、グラナダ、マルベージャ、そしてバルセロナ。バックパッカーでこそありませんが、それ以前とそれ以降の旅と比べて、挑む感じと力を抜く感じが違ったかなと思います。

行きたいところに行く、観たいものを観る。その場の生活を五感で感じる。わからないことを受け入れる。

「わかっていることは、わからないということだけ。」

そのころ既にフラメンコはしていましたが、その旅ではいくつかのタブラオ鑑賞とマントンを買ったくらいでした。

なので、次にスペインに行くことがあるのなら、何かしらフラメンコに関することを学びにいくのだと、ちょっと力が入っていたのかも知れません。

本を読んで、単純に、純粋に、旅をしたいな、と思いました。

ああ、そうだった。旅ってそういうものだった。スペインを、旅したいな。


この「深夜特急」にも嬉しい偶然があって、

もちろん、スペインが出てきたこと。沢木さんが旅の終盤、旅の答えのようなものを得た時に「ムイ ビエン」とスペイン語で言ったこと。

そして、ガルシア・ロルカの「血の婚礼」が好きだということ。

自分でも好きなのかどうか、よくわからないのですが、ロルカの三大悲劇の1作「血の婚礼」と縁があるようで、偶然行った美術館の企画展がこの戯曲の版画だったり、それとは別の写真展でのテーマだったり、「ナナ」の歌だったり。(お馬は水がほしくないの歌)。

そんなことを思っていたら、また見つけた。

偶然は、知っている奇跡。何かしら意味があるのかな?もう一度読みなさいということなのかしら。ナナを覚えよ、ということなのかしら。(未だ覚えてない)

ということで。

まずは読んでみます。

どんな旅になるのかな?


これから旅にでるあなたへ。

恐れずに。しかし、気をつけて。