Volver ボルベール
先日のジャズとフラメンコライブでも歌った曲です。
わたしの大好きな映画、ペネロペ・クルス主演の “ボルベール(帰郷)”で歌われる曲。劇中では、エストレージャ・モレンテが吹き替えで歌っています。
この歌は、もとはアルゼンチンタンゴなのですが、アルゼンチンの国民的英雄カルロス・ガルデルが作り、自らが主演する映画の挿入歌として歌われました。
そしてその歌をフラメンコのブレリアのリズムで歌ったのが、チャキチャキなカディスの歌い手、チャノ・ロバートです。
私なりの訳になります。
過去に戻るのが怖い。
人生にもう一度向き合うことが。
私は夜が怖い。
思い出が沢山あって、私を目覚めさせない夜が。
でも、逃げ出した旅も、いつかはその歩みを止める時が来る。
過去の幻想を全て壊されても
慎ましい希望を密かに持ち続けて。
それは私の心の全てだから。
帰ろう。
時間という雪が、私のやつれたこめかみを白く染めても。
感じるんだ。
人生は一瞬だって。20年なんてないも同じこと。
熱さでのぼせた眼差しで
影の中をさまよう。
君を探して
君の名を呼びながら。
生きていこう。
もう一度。
泣けてくるほどに甘い思い出を胸に。
作曲し、歌っていたカルロスと、この素晴らしい詩を書き、伴奏をしていたギターリスト、アルフレド・レ・ペラは、この映画の撮影で訪れていたアメリカから母国アルゼンチンへの帰郷途中、残念ながら飛行機事故で亡くなりました。
映画ボルベールでは、この歌がとても大切なシーンで歌われます。
誰にでもある、自分の故郷。
それは実在する場所とは限りません。
愛しい場所。会いたい人。
あなたの心が、ちゃんと知っているはずです。
あなたが帰る、その道を心から応援しています。