マルティネーテ maritinete
シギリージャと組み合わせて踊ることが多いこの歌ですが、シギリージャとは別物です。
マルティネーテは、鍛冶屋の歌です。
炉で熱した鉄を金槌でたたきながら、うたう歌。(と、伝承とされています。ほんとにたたきながらはたぶん歌ってない。)その、たたく音が、あの、リズムの音です。
迫害されていたヒターノたちが就ける職業は、ほとんどが炭鉱か鍛冶屋だったそうで、どちらも大変な重労働でした。
自らの生い立ちや生活への嘆きや悲しみが込められている、といわれていますが
これは断然、炭鉱の歌のタラントのほうが悲しい歌が多いです。
嘆きや悲しみの深い歌のワンツーは、シギリージャとタラントだと思います。救いようがないくらいの悲しみ、苦しみ、そして諦め。
マルティネーテは、そこまでではないです。
よくうたわれる歌。
En el barrio de Triana
Ya no hay puluma ni tintero
para yo escribirle a mi madre
que hace tres año que no a la veo
トリアーナの橋で
インク壺もペンもない
母さんに書くための
もう、三年も会っていないんだ
もう一つ。
Ven acá mujere del mundo
convéncete a la razón
que no hay hombre en el mundo
que sea fijo como el reloj
お嬢さん、これは確かなんだよ。
この世の中の男はね、
時計のようにきっちりしたやつなんていないんだ。
歌のほとんどが4行詩です。
これを、たっぷり1行を2~4コンパスかけて歌うのです。
私はどの行も3コンパスかけて歌うのが歌いやすいけど、踊りの伴奏で短くするときはそれぞれ2コンパスにします。
でも、最後の4行目は3コンパスかけた方が自然だし、マルティネーテらしさが出ると思います。
マルティネーテらしい音がその3コンパスにも含まれているので、ここは豊かに歌いたい。
リブレでと指定されることも多いですが、ほかの歌のリブレとはちょっと感じが違うかも知れません。
リズムはちゃんとある中で、息遣いで間を置くというか。なので踊るときもリズムありきな感じがでるように思います。
どうしても、シギリージャのイメージと重なりますが、マルティネーテはそれ自体で独立した世界があるので、それを表現できたらなーと思っています。
鍛冶屋の様子とマルティネーテ
トリアーナの橋で の歌での踊り
バイレ Fiona Malena
素敵なCDジャケット。Jaime Heredia “El parrón” マリーナ・エレディアのお父さん。
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