ケルト音楽とフラメンコ

問題です。

これはどこの国の音楽でしょう。

アイルランド? スコットランド?

いいえ。スペインです。

スペインの北西部の端、ガリシア州の音楽です。ガリシアは巡礼の道で有名なサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂があるところ。

アイルランドやスコットランド音楽をケルト音楽と呼びますが、このケルトはスペインのガリシアを含む北西部にも渡ります。なので、音楽的にも舞踊にも文化的にも(たぶん)共通するものがたくさんあるのだと思います。

アンダルシアのフラメンコとはずいぶん違いますが、このガリシアの音楽もフラメンコに取り入れられています。

昔からバグパイプの音が好きなんです。なぜか懐かしく感じるの。

ケルト音楽には欠かせないこのバグパイプ。

ガリシアではガイダと呼ばれます。

フラメンコをされている方ならガリシア、ガイダ、で思い出す方も多いかも。

Una farruca en Galicia amargamente lloraba.

Se le había muerto farruco que la gaida le tocaba.

ガリシアの娘がつらい想いで泣いていた。ガイダを吹いていた彼が死んでしまったから。

そう、「ファルーカ」です。

以前、ホセ・グレコが都内でライブをされた時、お話しする機会があって、ちょうどこの映像をみた後だったので、あの曲は何?と聞いたら

「ファルーカだよ。」

と教えてくれました。

ホセと、ローラ姉弟のファルーカ。

これを観た時、ホタの何かかと思っていたのですが、あながち間違いではなかったみたい。

ホタは、ガリシアとはちょうど真向かいのスペイン北東部のアラゴンが発祥とされています。

そして、ガリシアの音楽(または舞踊)をムイネリラ(muiñeria)と呼び、これはガリシアのホタとされているそうです。

ということで、ガリシアの音楽そして舞踊はアイルランドからのケルトとアラゴンからのホタの両面を持っているということで

私がケルト音楽とフラメンコが好きな理由もなんとなくつながることができました。

そんなこんなでいろいろと調べていたのに

あら。こんな映画があったじゃないか。

まだ観てないので、近々観てみたいと思っています。

ちなみに、カンタオール(歌う人)や、バイラオール(踊る人)はフラメンコに限る言葉で、フラメンコ以外は(ホタでも)それぞれカンタンテ、バイラリンと呼びます。

ホタのダンサーとフラメンコのサラ・バラスはお互いを尊重しながらも自分の持つアルテを魅せていて、素敵だなあと思います。似てるけど、違う。全然異なるけど、共感し合う。

そしてケルトとフラメンコ。

マリア・パヘスのリバー・ダンス。

やっぱりつながりを感じますね。

もちろん、フラメンコはフラメンコとして深く深く、学ぶことがあるけれど

フラメンコが好きな私が、ちょっと横を向いたら

もっと世界が広がった。

でも、すごくそばにあった。

そんな想いです。

外国に自由に行けるようになったら、こういった音楽をめぐる旅をするのもいいなあ。

あなたの好きな世界の広がりを、こころから応援しています。