4拍子のこの曲は、踊るにも、歌うにも、馴染みやすい気がします。観るにも、聴くにも。
歌の内容は、失恋が多いかも。恨み節なんかもあります。
以前、ティエントの踊り伴唱で、
「長いのを」と指定があったことがありました。
「長い」ティエント。
長さの指定はよくあります。「グアヒーラの長いの」と言われれば、7コンパスに2コンパスか4コンパスかを足すのが大抵決まっています。(日本だけだと思う。スペインでは長々と朗々と歌われます。)これは、バイレとカンテの共通理解のようなことで、お互いが同じ長さを描いていれば問題ありません。
さて、ティエント。
8拍を1コンパスとして、踊りの場合は、だいたいがこの長さです。
2コンパスでレマーテが1コンパス、そのあとが6コンパス。全部で9コンパス。下の歌詞だと、➁の後にレマーテ。
cuando por la calle vas—➀
cuando por la calle vas—➁
pones carita de santo—➂
cuando por la calle vas—➃
pero dentro de alma —➄
ná más que encierra maldá—➅
pero dentro de alma —➆
ná más que encierra maldá—➇
でも、この歌だと
最短で➀-➂-➃-➄-➅でも歌えます。レマーテなしで5コンパス。
もしくは➆と➇をなくして6コンパス。
もっと短い歌もあります。
no te he hecho ná—➀´
no te he hecho ná—➁´
ni siquiera he pensado—➂´
de llegarte a molestar—➃´
ni siquiera he pensado—➄´
de llegarte a molestar—➅´
この歌の最短は、➀´-➂´-➃´ で3コンパス。これも後半の➄´➅´を歌わなければ4コンパス。
長さで言うと、よくある踊りの長さ(上の9コンパス)は、十分に「長い」のです。
結局、冒頭の「長い」ティエントは、
1コンパスでレマーテ、そのあとが3コンパス + レマーテなしの6コンパスで後半タンゴになる構成でした。
なので、2つの歌を続けて歌うのです。短いのと、短いので、長くする。
知り合いの歌い手さんたちに、長いティエントって言われたらどの長さで歌うかを聞いてみましたが、さまざまでした。
でも、一度私はこの構成で歌ったことがあるので、もし次に「長いティエント」といわれたら「これかな?」と思うでしょう。
何事も経験ですが、長い、短いはお互いが同じ理解ではないかも知れないということを心のどこかに置いておくといいかも知れません。説明って難しいですよね。やっぱりやってみないとわからないところもあるし。コンパス数だけで言われても、ピンとこないこともあります。踊りの構成のバリエーションと歌の構成の仕組みは、どちらも学んでいきたいものです。
2歌が「長い」ティエント。ディレクトで2歌が始まります。2コンパスでレマーテのある9コンパスのあと、続けて短い歌が4.5コンパス(!)出だしをメディオ詰めたので4コンパス半。こう歌いたくなるの、すごくわかるのですが、伴奏の時は半コンパス待って、5コンパスにしたほうが、すっきり踊ってもらえると思います。
タンゴが長い。迫力ありますねえ。
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