フラメンコのCDを聴くのには、ひとりでの移動中が一番いい。(わたしの話)
歌を覚えるのとは別に、例えば 71曲収録の Medio Siglo de Cante Flamenco というCD。
先日、久しぶりに1時間一人で運転することがあって、やっと聴けたところです(10曲くらい。あと61曲かあ。)
上記のCDはアントニオ・マイレーナ、ラファエル・ロメーロ、テレモト、マヌエル・アグヘータなど、古きから渡る名曲が詰まったものです。
古いもの、そして曲の種類を聞き分けしたい方にはお勧めです。
さて、運転中ではありますが、そこそこの集中力で聴いていると、ソレアが沁みてきます。
ソレア soleá
踊りも、歌も、ギターも大好きな曲種です。
ソレアにも種類があります。ソレア・デ・アルカラ、トリアーナ、ウトレーラなどなど。これは地名であり、メロディーに特徴があります。でも歌うときは(踊りの伴奏でも)どれを歌っても大丈夫です。良く聴かれるのは、アルカラです。
ほとんど4行詩。繰り返されて、踊りの場合は、2コンパスのあと1コンパスレマーテを入れて計9コンパスで歌われます。
ソレアはスペイン語のsolead 悲しみ から来ているとも言われるので、
さぞ悲しい曲かと思われますが、わたしの中ではそうでもありません。
タラント、シギーリージャに比べると、生きる希望みたいなのがあるんです。
Hasta la fe de bautismo
Ay que ya la voy a empeñaito por tu quierer
Ahora te vas y me abandonas
ay que te castigue un Dive
(信仰までなげうって、あなたへの愛を貫くと決めたのに
あなたはわたしを置いて去っていく。
あなたに天罰が与えられますように。)
愛情があるゆえに。そりゃ、憎しみもあります。
Si al Cielo Dios te llevara
alli iría yo a buscarte
Y diría que me dejara
contigo pá acompañarte
(もしも神様が、あなたを天国に連れて行ったら
わたしもそこに行って、あなたを探すわ。
そして神様におねがいするの。
このままここにいさせてくださいって)
それくらい、好きってことだ。
悲しみの深い歌ももちろんあります。でも、人間性というか、
人の持つ、滑稽なほどの一生懸命さとか、愛する、憎しむ、人間っぽさを感じずにはいられません。
上の歌が最初に歌われます。歌っているのはエンリケ・エル・エストレメーニョ。
踊りはマヌエラ・カラスコ。番組のオープニングが1分半くらい続きます。
フラメンコのドキュメンタリー映画「サクラモンテの丘」でも歌われています。
とてもゆっくりなので、歌うのにも気合がいります。踊りの伴奏では、速さの緩急が肝なので、合わせられるように、ずっとずっと集中です。
以前、アントニオ・ビジャールのカンテクルシージョで、ソレアは戦いだと言っていました。
それと、コンパスの1も2も大事だとも言っていました。アクセントだけでない、どれもこれも大事ってことかな。4も5も6もですね。7に向けての静けさが、絶対的に必要な感じ。歌うとわかります。
私の好きな映画で、「しあわせな孤独」というのがあるのですが
まるでソレアだな、と思ったことを思い出しました。デンマークの映画だけど。
人生は滑稽だ。愛して、憎んで、喜び、悲しみ、一生懸命生きている。
人生は、その人それぞれです。その人の人間らしさが、フラメンコのエッセンスでもあるんじゃないかなと思います。
あなたのフラメンコのある日々を心から応援しています。
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