パトリシア・ゲレーロ|魅せ方のバリエーション

今年は、いろんなジャンルの音楽の方とご一緒することがあって、

フラメンコにも興味を持って頂いて、とても嬉しい。

それで、どうやって学べばいい?

と、いうところになると

うーむ。

とりあえず、いろんな音源やら動画やら、フラメンコピアノの教本やらを紹介してみました。

そして会場も様々で、室内、半室内、野外。

客席数、客層も様々で、その場にあった選曲や、構成を考えたり。

今までにあまりなかったことだったけど、

やっぱりこういうことに考えを巡らすというのは大事ですね。

観る人、聴く人が、フラメンコを知らない方が多いとき。もちろんその中には愛好家の方もいらっしゃるでしょうし。

わたしとしては、フラメンコなら、フラメンコをしたい。

とはいえ、その時間、皆さんに楽しく観ていただきたい。

などなど。

さて。

今回は同じ踊り手が創るステージの魅せかたの違いをご紹介します。

パトリシア・ゲレーロのシギリージャとカンティーニャス。(アレグリアスと書かれていますがこれはカンティーニャスです。)

彼女の踊りはすごいです。

サパテアードは男性並みだし(以上かも)、回転も力強く、早い。そしてちっともぶれない。

ますは、シギリージャ。

野外の有名なステージで、客数も多く、おそらくフラメンコ愛好家の方たちがたくさん観ていることでしょう。

歌はアルカンヘル。ギター、パーカッション、パルマ、そしてチェロが3人。

(追加:この弦楽器はチェロではなく、ヴィオラ•ダ•ガンバという、バロックの楽器だそうです。)

これ、早回ししてないよ。

通常の踊りのシギリージャはこの3倍くらいゆっくりですが、始まりから最後まで、切羽詰まったような速さで緊張感がずっと続きます。バックの厚みにまったく引けを取らないパトリシアの踊り。連続の回転も余裕さえ見られるようです。

アルカンヘルの視線も殺気さえ感じる。

ちょっと長いけど、残り2分を切ったくらいからは、ぜひご覧ください。

狂気にも似た緊張感が厚く、熱く、フィナーレへと導いていきます。

baile :Patricia Guerrero

cante :Arcàngel

guitarra :Miguel Ángel Cortés

うってかわって、カンティーニャス。

これは、そんなに大きくはない室内の劇場です。照明も特別でなく、セットも真っ黒。

もしかしたら、フラメンコはあまりみたことないという方もいるかもしれない。(バルセロナだし)

ここでは、ギターもパルマもなく、歌と踊りのみ。マイクもありません。

まるで、二人芝居を観ているかのようです。

おじいちゃんと、孫。はたまた、ベテラン(何かの)職人とちょっと生意気な女の子。

2人のコミュニケーションが飾り気のない舞台で、繰り広げられます。

パトリシアはここでもすごいことをしてますが、なんだか、ほんわかしちゃう。

ファン・ホセ・アマドールのちょっと気の抜けた歌い方もとてもいい。

これもまた長いのですが、フィナーレをぜひ見てほしい!こういうの大好きです。

 baile:Patricia Guerrero

cante :Juan José Amador

ちなみに、アレグリアスといえばアレグリアスだけの曲になりますが、そこにロメーラなどが入ればカンティーニャスになります。なのでこれはカンティーニャス。

彼女の踊りを観ていると、わたしがやっているのはなんじゃろう。と思ってしまいますが

アフィシオナーダ(愛好家)の一人として、

生で観たい!!感じたい!

舞台によっての魅せ方のバリエーションをたくさん観てみたいなー。

そう遠くないいつか。

こうして、家にいながらして知ることができるのも幸せですね。

あなたのフラメンコのある日々を心から応援しています。