前回の続きです。
アメリカ大陸発見から、さまざまな文化や音楽と交じり合い、スペインに戻ってきます。
戻ってきたときに、大きく2つのリズムがありました。
3拍子と4拍子(2拍子)です。
これがフラメンコのリズムのもとになります。(シギリージャは別にルートがあるそうです。)
3拍子は、前回に記載した、ペテネーラからソレアに変わっていく過程のリズム。
4拍子は、タンゴになっていきます。
当時、スペインにはアフリカ系の黒人が働くためにいました。おそらくアメリカ経由が多かったのだと思います。
アフリカにはそのころ既に、独自の音楽があり、彼らはそれをスペインに持ってきます。
レコンキスタ(国土回復運動 イスラム教からキリスト教)が終焉を迎え、ますます虐げられるようになった、黒人やヒターノ、貧しい人たちは、外に追いやられ、独自のコミュニティーを作っていきました。そこでまたいろんな音楽が交じり合います。
そのころには、フラメンコはありましたが3拍子のもので、まだ2拍子系はありません。ブレリアもありません。
アメリカ大陸でのアフリカの音楽は、早い4拍子でした。
それがスペインに戻ったとき、ゆっくりとなり「ハバネラ」と呼ばれます。
カルメンで有名な、あの「ハバネラ」です。
これを再び早くしたものを「タンゴ」と呼ぶようになりました。
ango とは「アフリカの」という意味があるらしく、タンゴ、ファンダンゴはそこから来ているそうです。
この「タンゴ」は、今のフラメンコではなく、歌うための(聴くための)曲です。
偉大なカンタオーラ、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスはタンゴを歌う歌手として「タンゲーラ」と呼ばれていました。
今でも歌われる有名なタンゴ。
そしてこの「タンゴ」が、ペテネーラ、ソレアなどのフラメンコの要素と交じり合い、「ティエント」になり、「タンゴ(フラメンコの)」になっていきます。
この時点では、まだフラメンコの決まりはなく、曲の明確な区別もありません。
ティエントのリズムも、今のような決まりはなく、4拍子(2拍子)だったり、ソレアのリズムだったりしていました。
ダビが歌います。同じメロディーを、ティエントとソレアのリズムで。
ここで、ギターの伴奏問題がでてきます。
ギターがなければ、自由に歌えますがギターを弾く場合には、決まりが必要となってきます。
住んでいる場所によって、既にあった音楽と交じり合ったもの、それに決まりを作り、ギターが弾かれるようになります。
ダビが再び歌います。マラゲーニャとタラントを同じ歌詞で。
アルフレッドのギターが、この2曲を全く別のものします。キャラクターを確立していくのです。
少しブレリアのリズムに触れます。
アルフレッドがギターを弾きます。同じメロディーを3拍子と4拍子で。リズムだけを変えます。混ざり合えば、ブレリアになります。
さて。
曲の確立と、ギター伴奏問題に尽力したのが
ラモン・モントージャとアントニオ・チャコンです。
ラモン・モントージャはギターを歌の伴奏だけではなく、ギターの演奏という面でもスタイルを作り上げていきました。
ラモン・モントージャとアントニオ・チャコンのタンゴ
今回はここまでです。
さて、つづきはどうしようかな。
ギターの起源とかも話していましたが、むむむ。なかなか難しい。
今、あなたが見つめているフラメンコは、何千年もの旅をして今ここに来ています。
今いるのは、今のあなたです。
でもそこで見ようとしているものは、さまざまな歴史や想い、大陸とか、世界とか、争いや宗教などを経て来ている。そしてそれを今、私たちの前に見せてくれるように尽力してきた人たちがいる、ということを心のどこかに置いておくことが
フラメンコへの恩返しになるのではないかなと、思っています。
あなたのフラメンコのある日々を心から応援しています。