カスタネットを奏でてみる|CASTAÑUELAS,PALILLOS

一日のうちで、すこしでも

「頭を空っぽにする」ことを心掛けています。

なんにも考えないでいるのには、(わたしには)集中力のバランスが必要で

頭を適度に使いながら、何かをしていたほうがいいのです。

むすめがピアノを練習するのをみて、私も弾こうかなと思いましたが

どの時代も一生懸命練習してきていないので、いまさら弾くには頭を使いすぎました。

でも、そういえばと、ピアノの練習曲「ハノン」(たぶん)にあった音階の練習をしてみたら、なかなかいい。

右手と左手、同じことをするのですが、上がって、下がって。一往復したら、長調をかえて同じことをしていきます。

ハ長調(C)、ヘ長調(F)、変ロ長調(B♭)…。全部で12通り。

ほどほどの集中力でできるので、しばらく頭を空っぽにすることができました。

私は右利きなので、右のほうが良く弾けます。左手は特に薬指が動かない。

そうやって弾いていたら、

あれ、最近この指の動きしたな。

おお。あれだ。

カスタネット。

castañuelas /palillos

昨年来日した、「カスタネットの女王」ルセロ・テナ。

踊っているの初めて観ました。綺麗ねー。オペラみたい。

こちらは、カスタネットの老舗 Castañuelas del Sur の Juan Vela さんによるセビジャーナスのレクチャー。

そしてBBCで2014年に放送された Castañuelas del Surのドキュメンタリー。

かいつまんで訳します。(英語の字幕を)

私はファン・ベラ。 カスタネットを作って52年(当時)。この仕事をとても愛しています。子供のころ、父の工房に沢山のフラメンコダンサーが来ていました。そして、この伝統を私が引き継ぐことに気づきました。

私はカスタネットが大好きです。150個も持っています。仕事中毒ね。

たたき方も教えるし、もちろん自分の練習もたくさんします。だって大好きだから。

手作りのカスタネットはひとつひとつ音が違います。踊り手がどんな音を必要としているかに合わせて作っています。踊り手の表現したいことと音の鮮明さや、形が合うように。

(フラメンカの話)

「シギリージャを踊るときは低い音がいい。これは私の特別な曲。

踊り手は感情を手で表現します。私はカスタネットで表現するのが好き。この楽器に強さ、柔らかさ、すべてを込められる。」

今ではいろんな素材で作られますが、なんといってもグラナディージョ(マメ科の木)が伝統的であり、最も良い。

「今ではバタやマントンを使うフラメンコダンサーは少なくなっています。カスタネットはもっとです。これらを使う踊りがなくなっていく危機があります。」

私の仕事は、もはや消えゆく職。しかし、幸い三人の息子が引き継いでくれています。

未来へつながることを願います。

もうアンダルシアにも、スペインのどこにも、この職人はいないのですから。

日本でも、どこでも、伝統を守ることと引き継ぐことには、深い愛情と強い意志が必要なのだなと感じます。問題も困難も隣り合わせでいようとも。

踊りの練習をするのも難しいこの状況ですがカスタネットは消音カバーもありますので、よかったら奏でてみてくださいね。

わたしはすーっとしましたよ。

大切な追伸。

今、何かしようとしなくてもいいんですよ。

踊らなくても、歌わなくても、カスタネット叩かなくても。

こんな時期は自分が思っているよりも、心も体も休みたがってることに気づきにくい。

もし、何か始めようとして腰が痛くなったり(わたし)首を寝違えたりしたら(これもわたし)

「まだ休みなさいよ。」

と、からだが教えてくれていると思ってくださいね。

休んでからでも大丈夫。

こころの声を大切にして、大丈夫ですよ。